五猿門の流儀

五猿門は、芸を守り、場を読み、礼を尽くす。
猿に無理をさせず、その日いちばん良いかたちで。
静かに、確かに、笑顔で終わる一座であり続けます。
奈良時代から、受け継がれてきた。
猿まわしは、奈良時代から続く伝統です。
かつて猿は「馬の守護神」として崇められ、 厩(うまや)の厄災から馬を守り、その安寧を願う神聖な儀式として始まりました。
つまり、私たちの芸のルーツは「見世物」ではなく、
大切なものを守り、人々の心を安定させるための「信頼の営み」にあるのです。
言葉に込められた願い
- 不安や悪い気が「去る(猿)」
- 競い合いに「勝る(猿=まさる)」
シンプルな言葉遊びの中に、人々の根源的な願いが込められています。 その姿を見る時、言葉を超えた何かが、確かに伝わる。 論理ではなく、感覚で。心で。
五猿門は、この1000年の伝統を、そのままに活かしています。
古い作法を、無理に新しくする必要はない。 むしろ、格式ある伝統だからこそ、人の心を動かす力がある。
その場、その時、その人たちに必要な形で。伝統を遊ぶように、自由に、本気で。
種を超えた「相棒」として。
私たちのステージに、上下関係はありません。役割が違うだけです。
言葉は通じません。だから、呼吸や表情の変化を読みます。
お猿さんは、道具ではありません。
彼らの個性を尊重し、無理をさせません。楽しんでいない猿の芸は、客席にも伝わります。

THE BOND
言葉のいらない、長年の相方。
一回、一回を、ちゃんとやる。
舞台に立つのは、一人と一頭。
持って行けるのは、それまでに積み上げてきた芸だけです。
会場が大きくても小さくても。
お客さんが百人でも、五人でも。
目の前にいる人を楽しませて帰る。
五猿門がやることは、いつも同じです。
うまくいったから、次も同じではない。
その日の空気を見て、間を変え、言葉を変え、芸を変える。
もっと面白くできるなら、何度でも直す。
「二流」は、自分たちを卑下する言葉ではありません。
一流を名乗ることより、その一回にちゃんと向き合う。
それが、五猿門の立ち位置です。
目指すは、最強の二流。
伝統を遊べ
舞台が始まると、その場の空気が少し変わります。
主催者の「うまくいくだろうか」という不安が安心に変わる。
初めて見るお客さんの「何が始まるんだろう」が、笑顔に変わる。
僕が大切にしているのは、そんな瞬間です。
技術があるのは、プロとして当たり前です。
でも、どれだけ磨いても、お客さんの心に届かなければ意味がない。
だから一回一回、その日の客席を見て、その日の舞台をつくる。
「呼んでよかった」と思ってもらえて、お客さんが笑ってくれたら、それがいちばんの手応えです。
伝統を守るだけではなく、今の客席に届く形で遊ぶ。
それが、五猿門の猿まわしです。
猿芸集団 五猿門
団長 原田 聡
